第3回市議会定例会にて一般質問しました。

 

質問の趣旨

農業を取り巻く環境は、本市のみならず全国的にも、農業従事者の高齢化・後継者不足、水稲をはじめとする農産物の価格の低迷等、大変厳しい状況となっております。

これらの要因に伴い、耕作放棄地の増加や有害鳥獣の範囲の拡大により、営農意欲の低下にも繋がっております。

本市にとって、農業は漁業と共に、古くから脈々と引き継がれてきた重要な基幹産業で、人間にとっての3大要素である「衣・食・住」の中で、最も大切な「食」、命に直結する産業でもあることから、早急な解決策が必要と考えておりますので、農業の振興について4点の質問をしました。

 

問:①農業の現状、取組状況について

現在の農業人口、農業従事者の高齢化率、新規就農者の状況について、5年前、10年前と比較してどう推移しているか、農業の現状、取組状況について。

答:販売農家数は、平成17年は、1,463戸、5年前の平成22年は、1,218戸となっており、約17%の減、平成27年は、965戸となっており、約21%の減となっている。

農業従事者数は、平成17年が、3,874人、平成22年が、3,012人となっており、約22%の減、平成27年が2,270人となっており、約25%の減と、減少傾向は進んでいる。

高齢化率は、平成27年は65歳以上が約65%、5年前の平成22年は65歳以上が約55%と、高齢化についても進んでいる。

農業振興においては、農業生産基盤の整備による生産性の向上と農地の汎用化、農業用水の確保を図るとともに、中山間地域における集落営農と地域の特色に応じた営農基盤の整備を促進し、遊休農地の解消や耕作放棄の防止を図り、本市の特性と優位性を活かした農産物生産とブランド化を図っており、個人、法人合わせ89の認定農業者の方々に、高齢化や後継者不足の進む、地域の担い手として、農業生産に取り組んでいただけるよう支援している。

新規就農者は、現在4人の農業者を認定しており、農業次世代人材投資事業交付金や青年等就農資金等のメリット措置を受けている状況となっており、今後も、新規就農支援については、積極的に推進を図っていきたい。

 

問:②経営所得安定対策に係る米の直接支払交付金について

国は、平成22年度より米戸別所得補償制度として、減反への参加を条件に、主食用米を生産する農家に10アール当たり、15,000円を支払い、平成25年度からは、名称が変更され、10アール当たり、7,500円に引き下げられた。

また、平成22年度には、米の標準価格を下回ったため、10アール当たり、15,100円の追加払いがなされ、農家にとって非常に有り難い制度であったと感じていたが、残念ながら、今年度から廃止となりました。

これは、減反の廃止と共に大規模農業、担い手集積への政策と考えているが、農家の方からは、これまでの制度は良かった、小規模農家はこれからどうなるんだ、将来も大切だが、それよりも今をどうするかが問題なんだ等ご意見を伺っている。

このように、小規模でも、あるいはご高齢でも、まだまだ頑張っている農家もいるわけで、米の価格が高騰すれば、話は別ですが、制度の廃止は生産意欲の低下にも結びつくものと考えている。市として、このような現状をどう考えているのか。

答:国では、平成30年産を目途に、主食用米の生産数量目標の配分に頼らずとも、「生産者が自らの経営判断、販売戦略に基づいて、需要に応じた生産を行えるようにする。」と米政策の見直し方針を決定した。

これにより、米の生産数量目標が国から示されていた平成29年産までと異なり、国等から米の需給見通しの情報提供を受けた県から、各市町村に生産目安が示されることになった。また、その中で、飼料用米やWCS用稲などの新規需要米への取り組みや、主食用米から麦、大豆、飼料用とうもろこし等の戦略作物への転換について助成を引き続き行うことで、今後も米価の安定に向けた米の生産調整と併せて、水田のフル活用による食料自給率の向上も図るとしている。

以上を踏まえ、国においては、主食用米への画一的な助成は制度改正の趣旨にそぐわないとして、平成30年産米から米の直接支払交付金が廃止されたところであり、この方針についても平成26年の方針転換時点より継続的に周知し、経営への影響が少なくなるように努めてきた。

このような中、本市農業の大きな特徴として、古くから水稲を中心とした営農形態であること。また、大規模経営の認定農業者や農業法人だけでなく、小規模農家、あるいはご年配でも頑張っていらっしゃる農業者の方々の、地域農業に対する役割も大きいものがあること。等々を考えますと、米価の下落が最も大きな問題になるものと認識している。

そのことから、国の施策ではありますが、本市としても今後、米の需給バランスを維持し、米価の安定を図ることは重要と認識している。

今後は、米の新たな需要も探りつつ、国、県の政策や市況の動向を注視し、制度や情報を有効に活用することで、米の生産調整が農業者のメリットに繋がるよう努めていく。

 

問:③ほ場整備事業について

生産性の向上と農業の汎用化、食料自給率の向上を図る上で、ほ場整備事業は推進していかなければならないと考えている。

現在、実施されている、貝渚、大里、八色地区を中心とした加茂川中部地区ほ場整備事業についてだが、この事業は平成24年に採択され、総事業費17億円、83ヘクタールの区画整理工事を実施する計画で、今年度、約3億8千万円にて一部工事を実施すると伺っているが、当初の完了予定は平成29年度と聞いていた。そこで、現在の進捗状況と今後の予定について伺う。

他にも、北小町地区にて今後予定されており、新たに押切、太尾地区等でも要望があったと聞いているので、併せてこれらの状況について伺う。

答:現在、本市内では、2級河川加茂川をはさんで、貝渚、大里、八色地区を中心に経営体育成基盤整備事業(県営耕作放棄地解消・発生防止基盤整備事業加茂川中部地区)を実施している。

こちらの事業は事業面積84.9ヘクタール、総事業費約14億円により、平成24年に事業採択され、平成29年度完成予定とされていたが、その間に、事業区域の変更等による法手続きを経て、事業面積83.4ヘクタール、総事業費約17億円、平成33年度完成予定と変更となったものです。

現在の進捗状況としては、平成29年度に事業区域の変更の法手続きが完了したことから、今年度より3億8千万円の事業費で、大八工区において用排水路工事、道路工事を含む20.7ヘクタールの区画整理工事、いわゆる本格的な面工事を実施する予定となっている。

今後の予定としては、平成31年度に大八工区及び貝渚工区の面工事、平成32年度には貝渚工区の面工事と大八工区の暗渠排水工事、平成33年度に貝渚工区の暗渠排水工事を行い、工事は完了する見込みとなっている。

その他の計画中の事業になりますが、北小町地区のほ場整備事業がございます。

こちらについては、北小町堰を中心に、2級河川銘川、砂防河川関沢川に挟まれた北小町集落において、総事業費約12億円、59.4ヘクタールの区画整理工事を計画しており、現在、平成32年度の事業採択を目指して地元にて調整を行っている。

また、押切、坂東、太尾、竹平集落においても、平成26年に田原地区ほ場整備事業に関する陳情書が提出されており、現在、ほ場整備推進委員を中心に勉強会を実施しながら、事業実施に向けた準備に取組まれていると聞いているので、今後の動向について、加茂川沿岸土地改良区とも情報共有を図っていきたいと考えている。

 

問:④有害鳥獣対策について

平成30年第2回市議会定例会にて、同僚議員の一般質問、私も議案質疑した、イノシシ等有害鳥獣被害防止対策事業、イノシシ棲み家撲滅対策事業について。

事業費563万4千円、補助率については10アール当たり39,000円以内ということで、補正予算額から算出される実施面積は約14ヘクタール、上回った場合は平等に按分させていただくが、県に対して増額要望をして参りたいと答弁をいただいた。

その後、月日も経過しているので、区や町内会、農家組合等からの要望をとりまとめたと思うので、これらの結果について伺う。

答:市内各集落から示された、「刈り払い計画」については、44集落より希望があり、面積の合計は76.3ヘクタールとなった。

事業の現状としては、千葉県のヒアリングを受け、その中で、守るべき農地が存在しない場合、事業対象外となる、新たな条件が示されたことから、計画地を見直しし、現時点での集計としては、42集落、約54.8ヘクタールとなっている。

現状、こちらの面積から算出した、10アール当たりの補助金額は、約10,000円の見込みで、当初、説明会において示した単価の39,000円を大幅に下回っているが、多くの皆様がこの事業に賛同し、地域の農地を守るべく要望をいただいた結果であると存じている。

今後は、各集落の皆様と改めて相談しながら、実際に刈払いができる広さや場所を確認したうえで、実施をして参ります。

また、県に対する当該予算の増額要望ですが、今年度予算については、県内各市町村のヒアリング結果を反映して、新たな配分としての内示が行われる予定とのことですので、本市としても、追加要望をして参りたいと考えている。

さらに、平成31年度の当該事業の予算につきましては、県においても今年度を上回る予算要求を考えていると伺っており、本市としても、事業の理解と推進を一層図るため、十分な予算確保に努めていきたいと考えている。

 

再質:農業従事者数について、平成17年と平成27年を比較すると、約4割減となっていることがわかる。これは、今後の農業に深刻な問題と思われるが、将来も大切だが、今をどうするかも大事なことであります。市として今一度、取組み対策について伺う。 

答:本市の農業を取り巻く環境は、生産資材高騰に加え、農産物価格の低迷等、大変厳しい状況であると認識している。

生産コストの削減のための農地集積を積極的に進め、担い手の育成に努めると共に、国・県等の補助を有効に活用した、農産物のブランド化、高付加価値化等の推進による農家の所得向上を図り、農業後継者や新規就農者、あるいは定年帰農者の確保等に努めて参りたい。

 

再質:米の需給見直しを受けながら、生産目安が示されると答弁いただいたが、いつの時期なのか。また、どういう内容なのか具体的に伺う。 

答:昨年度までの米の生産調整においては、生産数量目標として、作付面積に換算し、いわゆる達成すべき数値として、行政がお示ししていた。

これに対し、今年度から設けられた生産目安につきましては、農家の皆様が需要に応じた米生産・販売に取り組んでいただく際の、参考の情報として切り替えられたものになる。

数量目標との大きな違いは、達成、未達成等の判断が無い点にあります。

本市においては国・県を通じて示された生産目安について、鴨川市農業再生協議会において各農家割り当てを行い、今年2月下旬に各農家に送付させていただいた、水稲生産実施計画書の中でお示ししてある。

 

再質:食料自給率は、現在、カロリーベースで39%と承知しているが、自給率の向上に向けた、市としての取組みについて伺う。

答:一般的に示される食料自給率につきましては、家畜が食べる飼料の自給率も考慮した上で、総合食料自給率として示されている。

国においては「食料農業基本計画」を策定し、自給率向上に関連するものとして、その中の食料の安定供給の確保に関する施策や、農業の持続的な発展に関する施策の中で、輸出環境の整備や6次産業化の促進、また米政策改革の着実な推進として、需要に応じた生産をすることや、飼料用米等を戦略作物と位置付けて、生産拡大することなどを推奨している。

本市においても、農業生産効率に直接つながる圃場整備の推進はもとより、水稲の生産に関しては、耕畜連携によるWCS用稲の栽培等、食料自給率に寄与する取組も行われている。

これらについて、国や県の助成(国・交付金、県・上乗せ補助金)を活用しながら、効率よく推進していく事で、自給率向上にも寄与するものと考えている。 

 

再質:米の直接支払交付金について、先ほどの答弁では、生産目安を達成した場合には、国の交付金がなければ、市として、例えば、10aあたり1,000円とか、2,000円を支払うとかの考えはないか。

これこそ、生産調整が農業者のメリットにつながるものと考えますが、いかがか伺う。

答:農業者の方々に米の需要を意識しながら、計画的に生産していただきたいという方針の制度と認識しております。

確かに、議員おっしゃる対応につきましては、米の販売に係る上乗せの点で、即効性はあるやも知れませんが、米価の変動に対する永続的な対応にはなり得ないとも存じております。

まずは、米の流通や販路拡大について関係機関と連携の上、研究を進めると共に、併せて国の施策をうまく活用することが肝要であろうと考えておりますので、引き続き、WCS用稲や飼料用米等についてバランス良く導入しながら、農業者のメリットを引き出してまいりたい。

 

再質:加茂川中部地区のほ場整備事業について、当初の計画より遅れておりますが、農業者も、高齢化や農機具の更新等にも影響を及ぼすので、工事の完了が遅れることのないよう、お願いしたいと考えますがいかがか伺う。 

答:加茂川中部地区のほ場整備事業については、千葉県が事業主体となる県営事業で進められておりますので、市としましても、地元改良区と連携し、事業が遅れることのないよう、千葉県安房農業事務所と事業推進に努めて参りたい。

要望ほ場整備のような面整備も大切ですが、水稲の作付には、やはり水が命です。

現在、田原地区でメガソーラーの建設計画がございますが、金山川をはじめとする河川で取水している農家も多くおりますので濁水等発生することのないよう、県と十分な対応をお願いします。

 

再質:有害鳥獣対策について、現在、サル、シカ、イノシシ、キョンのほか、ハクビシンなどの小動物も駆除の対象となっておりますが、最近では、農業のみならず、漁業、観光面からも、トンビの被害が出ていると聞いている。

是非、これらの対策について、何か考えがあったら教えていただきたい。

答:トンビは、沿岸部に多く生息し、近年では餌付けなどにより、人間の食べ物の味を覚えたトンビが、上空から急降下をし食べ物をもち去るという事例が発生していると聞き及んでいる。

しかしながら、トンビの主な生息エリアは、銃による捕獲駆除が難しいため、現状では、追い払いや、呼び寄せるような行為をしない等の対応に限られるものと存じている。

本市の観光エリアの一つである沿岸部においては、まずは、トンビにエサを与えないことや、食べ物を持っている場合は、手を上にあげないこと、さらには、帽子や日傘などで頭を守ることなど、注意喚起が重要であると考えている。

また、漁業者の方々への被害対策でございますが、各漁業協同組合と協議していく中で、有効な対策、あるいは施設等の整備につきまして、検討してまいりたいと存じている。

要望イノシシ棲み家撲滅特別対策事業ですが、42集落、54.8haと、多くの要望があったわけですので、農地を守る観点、生産意欲の向上からも、是非とも県に対し追加要望が叶うよう、改めて予算の確保に努めるようお願いします。

最後になりますが、夏の全国高校野球選手権において、公立の金足農業高校が準優勝し、農業への関心を高め、農家に大きな夢と希望を与えてくれました。

やはり、農業は水産業とともに、国、県、行政がしっかり支援し、守っていかねばならない分野と考えております。

市としても、農業の振興、発展につきまして、夢と希望の持てる施策をお願い、期待し、質問を終わります。

一般質問YouTube録画映像
https://youtu.be/90GXT6_LQZs